希望の党がベーシックインカムの導入を公約に掲げていると聞いた時、ベーシックインカムとは何か分かりませんでした。
そこで、調べてみると、ベーシックインカムは、年金や生活保護などの社会保障を廃止する代わりに、国民全員に最低限の生活に必要なお金を国が配るというもの。
これにより、働かなくても最低限の生活を送ることができるので、生活のために働く必要がなくなり、国民は「やりがい」や「より良い生活」のために働くようになるので、ブラック企業がなくなります。
そして、ベーシックインカムで最低限の生活が保障されることで、芸術家、YouTuberなど、収入が不安定な職業でも自分がやりたい職業を選びやすくなります。
これってすごい!ブラック企業で働いて、体調を崩してしまった私は単純に感動しました。日本の働き方はこのままではいけないと思っていたから。でも、国民にお金を配るということは、財源が必要になります。
借金大国で、少子高齢化も進んでいる日本で、財源はどこから確保するんだろう・・・。そもそも、実現可能なの?実現して大丈夫なの?普段政治にほとんど興味がない私でも、そんな不安が浮かんできました。
そこで、ベーシックインカムについて20代女子が真剣に考えました。
希望の党の公約
希望の党の公約に、「ベーシックインカム導入により低所得層の可処分所得を増やす」と書かれています。
!?
可処分所得って何???
可処分所得って?
個人所得の総額から直接税や社会保険料などを差し引いた残りの部分で、個人が自由に処分できる所得。いわゆる手取り収入のこと。
引用:コトバンク
なんだ、手取り収入のことですね。
ということは、ベーシックインカムを導入して、低所得層の手取り収入を増やすということ。確かに、国民全員にお金を配れば、単純に考えると低所得層の手取り収入も増えます。
というよりも、「ベーシックインカム導入により低所得層の可処分所得を増やす」という文を見ると、低所得層だけベーシックインカムを試験的に導入する可能性もあるかもしれません。
ベーシックインカムって?
ベーシックインカムについて、MAG2NEWSが分かりやすくまとめてくれていました。
ベーシックインカムとは、ひとことで言えば、国民全員に、生きて行くのに最低限必要なお金(生活費)を毎年配布するという社会保障制度です。
お金持ちから失業者まで、満遍なくお金を配るというのがミソで、それにより、(特定の条件を満たした人たちだけが受けることができる)失業保険・生活保護・年金・介護保険・私立助成金・子供手当などを全廃し、役所の機能と政府の支出を大幅に削ることが可能になります。
それだけでなく、ベーシックインカムの導入と同時に、労働者を保護するための、最低賃金、労働組合、解雇規制、派遣法、職業安定所などシステムも全廃が可能になります(全廃してこそ、ベーシックインカムの導入の意味があります)。
派遣社員と正社員の区別などなくなり、会社は必要に応じて、いつでも自由に解雇することが可能になります。
ベーシックインカムにより、人々は「生活費を稼ぐために働く」ことから解放され、「生きがい」や「より良い生活」のために働くようになる、というのがベーシックインカム支持者の意見です。
その結果、今のように「過酷で給料が安い」仕事には人が集まらなくなり、過酷な仕事にはそれなりの高給が支払われるようになると主張しています。
人々から「生活費を稼ぐためには働かなければならない」という弱みを取り除くことにより、労働市場に競争原理が働くようになる、という発想です。
ベーシックインカムだけで暮らして行くことを決めた人は、職探しなどせず、生活費の安い地方に移り住んでのんびりと生きて行くことも可能だし、今だとごく一部の人たちしか生活費を稼げていない、芸術家・音楽家・作家などの職業を選ぶことも容易になります。
引用:MAG2NEWS
なるほど!
ベーシックインカムを導入することで、「生活費を稼ぐために働く」ことから解放されて、「生きがい」や「より良い生活」のために働くことができるようになるということですね。これは、とても魅力的です。
それによって、ブラック企業に人が集まらなくなり、労働環境が改善されていくんですね。
過労死という言葉があるのは日本だけ。国民の意識が変わらない限り、日本の労働環境が良くなることはないと考えていましたが、これなら徐々に改善出来そうです。
ブラック企業で働いて体調を崩してしまったり、亡くなってしまうのは本当に悲しいことです。
体調を崩すまではいかなくても、ブラック企業で働くことで、プライベートな時間もなく、残業ばかりで毎日疲れ果てている人は多いと思います。
ベーシックインカムが導入されたら、ブラック企業をなくすことも夢ではないかもしれません。
また、最低限の生活が保障されることで、芸術家やYouTuberなどの生活が安定しない職業でも、本当に自分がやりたいことを選択しやすくなったり、ベーシックインカムだけで生活費が安い地方などで生活することも可能になると。
YouTuberは、子どもがなりたい職業の上位を占めています。生き方が多様になり、将来に希望を持てる子どもも増えそうです。それに、現在働いていても、他にやりたいことがあって挑戦してみたい、質素な生活でも働くことなく自由に生活したいという人にはとても嬉しいですよね。
でも、ベーシックインカムを導入するということは、失業保険・生活保護・年金・介護保険・私立助成金・子供手当などを全廃するということ。
ということは、現在厚生年金をもらっている方は、受給額が下がる可能性が高いです。現在の厚生年金の平均受給額は月約14万と言われているので、ベーシックインカムで月10万円もらえたとしても、約4万円下がってしまいます。
さらに、介護保険ももらえなくなってしまいます。
健康で働ける若者にお金を配分するために、働くのが難しい高齢者の年金が下がってしまい、介護保険ももらえなくなるのは、疑問を感じてしまいます。
財源は?
気になるのが財源。Yahoo!ニュースに、自ら「ベーシックインカム導入を公約に入れてくれと若狭勝衆院議員に訴えた」という、希望の党所属の木内孝胤衆院議員のインタビューが掲載されていました。
木内氏によると、現時点で社会保障給付費(医療費を除く)を全てベーシックインカムに振り替えると、国民の新たな負担増はなく、国民に月額5万円程度のベーシックインカム給付がすでに可能だという。
木内氏が具体的に計算してみると、2015年度の社会保障給付費114兆8596億円のうち、医療費37兆7109億円を除いた77兆1489億円を2016年の人口(1億2675万人)で割ると、年間60万8670円、月額5万722円になる。
さらに個人総所得約270兆円のうち、約半分を占める各種控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)合計額135兆円を全廃すると、課税対象所得が135兆円から270兆円に増える。精査は必要だが、この増税収分も5万722円に加算すると、月額8万円程度の給付は負担増なく可能だそうだ。さらに、この額だと国民負担は42%程度だが、45%、50%などと調整することにより、より高い金額を給付することも可能だという。
引用:Yahoo!ニュース
ということは、年金や生活保護、子ども手当などの社会保障給付費をすべてなくして月5万円程度、さらに各種控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)をすべてなくしても月8万円程度の給付ということです。
さらに、多く支給するために国民負担を増やすということは、増税するということ。希望の党は、消費税の増税はしないと言っているので、所得税や相続税などを増やすということでしょうか。
基礎控除もなくなって、所得税も増えれば、頑張って働いて収入が多くても、今以上に税金が取られてしまいます。
働く意欲がなくなってしまったり、能力が高い人は海外に行ってしまうのではないかと心配になります。
さらに、基礎控除や配偶者控除などがなくなってしまうと、低所得層も多く税金を取られてしまうので、より貧困になってしまう気も・・・。
また、年金や生活保護の対応をされている公務員を減らせば、経費を削減できるという意見もありますが、そう簡単に減らすわけにはいかないのではないかと思います。
ベーシックインカムをもらうことで、地方なら働かなくても質素に生活できるという考えもありますが、地方でも月5万円で生活するのは厳しいですよね。地方でもワンルーム借りると、最低3万円程度はかかります。すると、あと2万円で生活することになりますが、2万円で光熱費や携帯代、食費などをまかなうのは不可能に近いです。
8万円あっても、家賃が3万円だとしても5万円で生活。いけなくはないのか!?いやかなり厳しいですよね。
まず都心なら無理です。実家で生活すればなんとか可能かもしれません。
それに、この金額なら、結局は生活費を稼ぐために働くことになるのでは・・・。という気もします。
でも、毎月8万円もらえたら、正社員ではなくても、やってみたかった職種のアルバイトをしながら生活費を補うという働き方もできるかもしれませんね。
私はずっと夢だったディズニーランドのアトラクションキャストをやってみたいです。採用されるかはともかく・・・。
スタバでアルバイトをしたいという友人も。働き方の多様性は広がりますね。
ただ、8万円だと厚生年金を月14万円もらっていた方は大幅に減ってしまいます。しかも、介護保険もなくなってしまうと、身体が不自由な高齢者は余計に厳しい生活になってしまうことが安易に想像できます。
そんな状況でお金がもらえても、私は全然喜べないと感じました。むしろ、身体は健康だし、頑張って働くよ!と考えてしまいましたが、みなさんはどう感じるでしょうか?
ベーシックインカムに反対の意見
Yahoo!ニュースには、ベーシックインカムに反対する意見として、慶應義塾大学の井手英策教授(財政社会学)へのインタビューも掲載されています。
井手教授は「矛盾だらけのバラマキ政策だ」と真っ向から反対する。まず社会保障給付費は、その財源の6割弱が厚生年金・国民年金を含めた社会保険料。将来もらえるものと思って納付してきた年金がもらえなくなる一方、年金をもらう権利がない人に対してもベーシックインカムが給付されることへの心理的抵抗は大きい。また、生活保護給付額も今までよりもはるかに少ない金額になる。
さらに、控除をすべてなくせば最低生活費にも税金がかかり低所得者層にとっては大増税だ。「税制をシンプルにする」というならば控除を基礎控除に一本化するなど他にもやり方はあるはずだ、と井手教授はいう。
引用:Yahoo!ニュース
確かにその通りなんですよね。
現に、現在「国家レベルで本格的に」ベーシックインカムを導入している国は存在しません。
地域レベルで本格的に導入している地域もありますが、アメリカのアラスカ州などオイルマネーがたくさんある地域ばかり。または、フィンランドやスイスなど、失業者や低所得層の一部に試験的に導入している国ばかりです。
今後はAIが労働の主流に
ただ、今後はAIが労働の主流になって、働きたくても働けない人がより増えると言われています。
AIに労働が奪われるなんてまだまだ先でしょ?と思うかもしれませんが、イオンなどのをスーパーのレジはセルフレジが導入されていませんか?その分、レジを打っている人数は減っていますよね。
以前は、映画館のチケット販売も人が主流でしたが、今はほぼ機械になっています。空港のチェックインや手荷物のお預けも徐々に機械が導入されていますね。
そのような感じで、どんどんAIが労働の主流になっていくと思います。
そうすると、人が働ける場所はどんどん減っていきます。働きたくても働けない人がどんどん増えていくわけです。
そうなると、ベーシックインカムを導入する必要性がより出てくるかもしれません。
そこで、今すぐにというわけではなくて、徐々に制度を整えつつ、導入を検討していく必要があると思います。
小池さんもこのように語っています。
小池氏は会見で「AIが人に代わり、これまでの仕事そのものが変わっていくことを想定した中で、ベーシックインカムの導入を考えている」とするにとどめ、具体的な政策課題には触れなかった。
引用:Yahoo!ニュース
小池さんもこのように言っているので、すぐに導入ということはなさそうですし、検討するのは必要だと思います。ただ、ベーシックインカムについての詳しい説明がないまま、希望の党が与党になってしまうのは怖いと感じました。
とはいえ、ベーシックインカムに現在の労働環境改善という希望を託したい気持ちもあります。
そこで、どのようにベーシックインカムを導入していく予定なのか、きちんと明言して欲しいと感じました。それをふまえて選挙の投票が出来るのが理想です。
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